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ひょんなことから東京宝塚劇場での公演を観劇してみた

宝塚歌劇団。

名前は聞いたことはあったけれど、正直なところ、それまでは全然興味はありませんでした。

その私が宝塚に魅せられてしまったきっかけを、お話していきたいと思います。

きっかけは宝塚歌劇団よりも、帝国ホテルバイキング

宝塚歌劇団を初めて観劇したのは、2018年の秋。

よくある、「東京宝塚劇場〇〇組公演と、帝国ホテルバイキングツアー」みたいなバスツアーに友人に誘われて、参加したときのことです。

当初、一緒に行こうと誘ってもらった友人には今となっては申し訳ないのですが、

「バイキングは行きたい。宝塚は、うーん、おまけでいいかな」

という感じで、帝国ホテルバイキングの方に魅力を感じていました。

それまで私は、お芝居や舞台が好きな母の影響で、小さいころから何度かクラシックバレエやお芝居、コンサートなどを観劇する機会はありました。

がしかし、それがどうも幼心に退屈に感じてしまった経験から、正直舞台ものを観劇するのは少々億劫な気持ちがあったんです。

「バイキングでお腹を満たした後だし、宝塚は見ながら寝ちゃうかもな」

と失礼な気持ちを抱きつつ、当日のツアーに臨みました。

当日、待望のバイキングに到着して私の気分は最高潮です。

おいしい料理に舌鼓を打ち、お腹も満たされて大満足。

「ああ、今日のメインイベントはこれで終わった。」

と、ここでもたいそう失礼な思いとともに帝国ホテルをあとにし、すぐそばの東京宝塚劇場へと向かったのでした。

数時間後、その日のメインイベントはバイキングではなく、宝塚歌劇団の方だったと思い直すことになるなど知る由もなく。

知らなかった!生演奏に感動!

東京宝塚劇場に到着し、ド田舎者の私が入口に入ってまず思ったこと。

「豪華」

階段には赤い絨毯が敷かれ、天井にはきらきらした大きいシャンデリア。

お土産売り場「キャトルレーヴ」のすぐ隣にはグランドピアノがあり、自動演奏までしてくれています。

「ほー、これが宝塚の劇場かー」

と、バイキングで満たされたお腹のおかげでボーっとなっている脳みそには、このくらいしか感想がありませんでした。

さて、豪華な佇まいの劇場ロビーにボーっとなったまま、我々は自分たちの席へ移動。

2階S席だったので、指示の通りに座席へ。

入口のドアを開けて劇場の中に入るなり、ボーっとなっていた私の脳は一瞬で覚醒されました。

「生演奏なの!?」

舞台のすぐ手前にオーケストラピットがあって、伴奏者の方々が音合わせをしているところでした。

ヴァイオリンの音、管楽器の音、時折聞こえる打楽器の音。

すごい、すごい、生演奏なんだ!まだ開演前の音合わせの段階なのに、宝塚初心者の私はすでに感動しきっていました。

そう、生演奏は宝塚ファンの方にとっては初歩の初歩、当たり前のことなのでしょうけれど、まったくの無知な私には

「生演奏なんだ、テープじゃないんだ!」

と、開演前から生演奏であることにワクワクしっぱなしでした。

宝塚歌劇団…こんな世界があっただなんて

いざ開演。
ちなみに私がこの時観劇したのは、月組の『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』でした。
(後から知ったのですが、当時トップ娘役だった愛希れいかさんの退団公演とあって、非常に人気の公演だったのですね。よくチケットが取れたものだと、ツアー会社と誘ってくれた友人に感謝です。)

劇場内が暗くなり、開演ムードが高まります。

すると「皆様、本日はようこそ東京宝塚劇場へお越しくださいました。月組の珠城りょうです。」と、トップスターと思しき方からの開演アナウンスが。

トップスターの方から直々にご丁寧なご挨拶まで、と感動ともつかない感想を抱いたその瞬間、会場から割れんばかりの拍手が。

観客同士が示し合わせたかのようなぴったりと息の合った拍手に、「おお、宝塚の流儀とはこういうものなのか…」と若干おののきながらも、周りにしたがって自分も拍手をします。

そして緞帳が上がり、オーケストラピットから音楽が流れ始めます。

「音合わせとは違う!なんて生き生きとした音楽なんだろう…」

エリザベートの第一幕はおどろおどろしい雰囲気の場面から始まるので、音楽もそれに合わせて暗めでひっそりとしたものなのですが、生きた音楽とはこういうものなのか!と鳥肌が立ったのを覚えています。

次の瞬間、舞台の上手から現れた人物に釘付けになります。

ひげもじゃでぼろぼろのボーダーシャツを着て、黒っぽいジャケットを羽織った人物。

月城かなとさん扮する、ルイジ・ルキーニです。

「え?この人、女性だよね?」

ここでも初心者丸出しの感動を覚えました。

女性がここまで、男くさい人物を演じることができるなんて…

あとはもう、夢中で作品に見入っていました。

月城かなとさんはもちろん、トートを演じる珠城りょうさん、フランツ・ヨーゼフ役の美弥るりかさんにも釘付けでした。

なぜ、女性がこんなに男らしくたくましく演じることが出来るのだろう。

もちろん娘役の皆さんも素晴らしく、とくにトップ娘役の愛希れいかさんの歌唱力、ダンス、お芝居は見事でした。

公演のすべてがあまりにも素晴らしく、ロケットの時には周りに従わずとも、自然と自らリズムに合わせて拍手をしていたくらいです。

最後のパレードでは、大きなクジャクのような羽根を背負った珠城りょうさんを見て、思わず涙が浮かんでいました。

数時間前の「バイキング食べたし、もういいか」みたいな気持ちはどこへやら。

見に来てよかった!

どうしてこんなに素晴らしい世界があるのに、もっと早くに見に来なかったのだろう。

という気持ちもありつつ、それでもこんなに素晴らしい世界を知ることが出来て本当に良かった。

演じる生徒さんたち、生演奏、それから観客の拍手、劇場の空気感。

それらが一つになることにより、二度と同じものは作れない、唯一無二の舞台作品が出来るのだ。

決して大げさではなく、そこにとても感動しました。

もっともっと、この宝塚歌劇団という世界を知りたい!

たった一日でこんなに感動し、それまでの価値観を覆されたことはありませんでした。

現在では、すっかり宝塚ファンになり、宝塚に関する雑誌・新聞記事を集めたり、地方在住のため地方公演をチェックしたりする日々です。

初観劇は、どなたにとっても思い出深いもの。みなさんはどんなきっかけで初観劇されましたか?私のように友人に誘われた、ご家族が大ファンだった、テレビ番組でタカラジェンヌを観て…などなど、様々なものがありますよね。

そして、まだ宝塚歌劇団の公演を見たことがない方には、こんなに素晴らしい世界はないのでぜひ一度観てほしい、宝塚の世界に触れてほしい。

そう願ってやみません。

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