宝塚ビギナーズガイド

宝塚の「組」って何?組ごとにどんな特徴があるの?

宝塚には5つの組がありますが、正直どの組も同じなんじゃないの?と思う方もいるかもしれません。

いやいや!それが違うんですよ!

各組ごとにそれぞれ違った特徴や魅力がたくさんあるので、今回は各組の特徴と魅力について、初めての方でもわかるようにお伝えしていきます。

宝塚の「組」ってなに? 〜宝塚は「組」ごとに公演を行います〜

現在の宝塚は、花組・月組・雪組・星組・宙組の5組あり、基本的には組ごとに公演を行います。ただし、どの組にも属さない「専科」と呼ばれる集団もあります。専科については、一番最後に説明します。
歌劇団設立当初はまだタカラジェンヌの人数も少なかったため、組分けはしなくてもよかったのですが、だんだんと人数が増えたことで、1921年に第一部を花組、第二部を月組として上演し、組が誕生しました。

そして、1924年には旧宝塚大劇場の誕生に伴い雪組が、1933年には東京への進出に伴い星組が誕生。
1998年には東京での通年公演を実施するため、5組目となる宙組が誕生。
5組体制となったことで、東西での通年公演が可能となり、現在に至っています。

組ごとにどんな特徴があるの?

花組 〜ダンスの花組〜

月組と同時に誕生した、宝塚の中で最も歴史のある花組は、ずばり”ダンスの花組”でしょう!

松あきら、順みつき、高汐巴など芝居のイメージが強いスターを多く輩出しましたが、1987年にトップスターに就任した大浦みずきさんから、”ダンスの花組”という印象が一際強くなったのではないでしょうか?
宝塚の”フレッド・アステア”と呼ばれるほど、宝塚屈指のダンサーであった大浦みずきさん。
1989年のニューヨーク公演ではメインを務め、公演は大成功に終わりました。

大浦さんのトップ時代は、大浦さんのダンスを生かした作品が多く、特にニューヨーク公演に向けて試作したショー、『フォーエバー!タカラヅカ』(作・演出:小原弘稔)では、当時花組のスター男役であった安寿ミラさんや真矢みきさんなど、多くのスターがトップスター・大浦みずきの下で経験を積み、後にダンスの花組を継承していきます。

また花組出身者が歌劇団振付家に多く転身したりと、”ダンスの花組”の伝統は今も生き続けています。

来年2020年には花組新トップスターに就任する柚香光さん主演の『DANCE OLYMPIA -welcome to 2020-』というダンスコンサートの開催が決まり、花組のダンスの伝統を引き継いでくれるのかな!?と今から期待しています。

男役さん、娘役さんのかっこいいダンスが観たい!という方には花組がおすすめです!

月組 〜芝居の月組〜

月組も花組同様、1921年から存在する歴史の長い組です。

1974年には『ベルサイユのばら』を初演し、当時社会現象にまでなった「ベルばらブーム」を引き起こしました。1977年には、『風と共に去りぬ』の初演も月組が担いました。

月組は”芝居”の月組!と言われるように、演技で観客を酔わす、、、。
芝居に強いスターを多く輩出している組です。

ここ最近では、『1789 ーバスティーユの恋人たちー』(2015年初演)や、『グランドホテル』(2017年再演)、『エリザベート ー愛と死の輪舞ー』(2018年再演)といった大作を次々と再演。

記憶にも新しい『ON THE TOWN』(2019年)、『雨に唄えば』(2018年再演)などの海外ミュージカルにも挑戦し、お芝居、中でもミュージカルに強いというイメージがあります。

お芝居やミュージカルだけではなく、『パリゼット』(1930年)、『花詩集』(1934年)など、レビューの代表作を多く生み出したこともあり、2014年の宝塚歌劇100周年の記念公演では、前述の『花詩集』を現代版にリメイクした『TAKARAZUKA 花詩集100!!』が月組によって上演され、宝塚の原点を見つめなおし、更なる発展へとつなげる大役を担いました。

また月組は、大地真央さん、涼風真世さん、天海祐希さん、真琴つばささん、紫吹淳さんなど個性が強く、とても存在感のあるスターを数多く輩出してきました。

テレビで見かけるOGの方も多いので、月組といえば有名なスターが多い!という印象も強いです。

お芝居、特にミュージカルが好き!という方には月組がおすすめです!

雪組 〜日本物の雪組〜

雪組は1924年の旧宝塚大劇場の完成に伴って3番目に誕生した組です。
雪組といえば”日本物”です!

2002年から2012年にトップを務めていた朝海ひかるさん、水夏希さん、音月桂さんの時代には、”日本物の雪組”にプラスして、”ショーで魅せる雪組”のイメージもありましたが、2013年にトップに就任した壮一帆さんの時代から”日本物の雪組”のイメージが再度強くなります。

その伝統は早霧せいなさん、望海風斗さんへと引き継がれ、現在も雪組には日本物に強い!という伝統が継承されています。

ここ最近では『星逢一夜』(2015年)、『るろうに剣心』(2016年)、『壬生義士伝』(2019年)といった日本物の名作を数多く上演。

着物の着こなしはもちろん、刀の構え方や立ち回りに至るまで本格的で、見応えがあります!
リアリティー溢れる立ち回りにハラハラドキドキし、感動的なシーンでは皆が涙し、劇場内にはすすり泣く声が響きます。

お芝居も達者な人が多く、派手というよりは堅実なイメージのある、とてもバランスの取れた組です。日本物においては、雪の右に出る組はないと思います!

また最近では演出家の中村一徳先生がショーの演出を担当されることが多く、ダンスに特化したショーを多く上演しているためか、意外とダンサーが多い!というイメージがあります。

ダンスといえば花組!ですが、数年後にはダンスの雪組!と言われるようになっているかもしれませんね…!

お芝居で感動したい!特に日本物を観たい!という方には雪組がぜひおすすめです!

星組 〜コスチュームの星組〜

星組は東京宝塚劇場の開場に伴い、1933年に誕生した4番目の組です。

星組といえば、”コスチュームプレイ”の星組。

軍服やドレスといった大掛かりな衣装、セットを使用した舞台を得意とし、”コスチュームプレイ”の星組と呼ばれるようになりました。

また、鳳蘭さん、瀬戸内美八さん、峰さを理さん、日向薫さん、紫苑ゆうさん、麻路さきさんといったゴージャスで気品溢れる男役スターを多数輩出し、”ゴージャスな星組”とも呼ばれています。

2009年から2015年までトップスターを務めた柚希礼音さんの時代は、ゴージャスな星組のイメージを引き継ぎつつもどちらかというと体育会系!というイメージが強く、その後、トップに就任した北翔海莉さんの時代では、エンターテイメント性に長けた実力派の星組というイメージが強くなりました。

現トップスターの紅ゆずるさんは、気品溢れる星組の男役の伝統を継承しつつ、関西出身の明るいキャラクターを生かし、多くのファンを魅了しています。

現星組トップコンビ、紅ゆずるさん、綺咲愛里さんのお披露目公演でもある、『THE SCARLET PIMPERNEL』(2016年再演)では、豪華な衣装、セットをふんだんに使用。

2018年の第3回台湾公演の『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』でも、原作の世界観をリアルに再現した豪華なお衣装が話題となりました。

次期トップスターである礼真琴さんは、体育会系の柚希さん、エンターテイメントに強い北翔さん、コメディセンス溢れる紅さんの元でたくさんの経験を積んでこられました。

星組の伝統を継承し、コスチュームプレイに強いゴージャスな星組を引き継いでくれることでしょう!

華やかでゴージャスな、宝塚らしい作品が観たい方には星組がおすすめです!

宙組 〜コーラスの宙組〜

宙組は、1998年に誕生した宝塚歌劇の中では1番新しい組です。

宙組といえば、迫力満点な”コーラス”の宙組。
印象的なのは初代トップスターの姿月あさとさん。

お披露目公演のショー『シトラスの風』の「明日へのエナジー」という場面では、姿月さんを中心とした宙組生が、ゴスペルソングにのせてパワフルに踊り、素晴らしいコーラスとともに、新しい組の誕生を印象づけました。
この場面のコーラスとパワフルなダンスは伝説として語り継がれ、宙組にとって節目の年などに再演されています。

その後、トップスターは変われど、コーラスにかける宙組生の思いは変わらず、今に至るまで引き継がれています。

また、宙組は、長身でスタイル抜群の男役揃いとしても有名です。

姿月あさとさんはもちろん、和央ようかさん、貴城けいさん、大和悠河さんら、端正で美しい美貌を兼ね備えたトップスターたちが次々と誕生し、”ビジュアルの宙組”というファンもたくさんいるようです。

凰稀かなめさん、朝夏まなとさんによってその勢いはさらに加速!
現トップスターの真風涼帆さんは、ビジュアルの良さを存分にいかし、宙組の伝統を引き継いでいます。

中でも『オーシャンズ11』(2019年再演)のダニー・オーシャン役は、真風さんのイメージにぴったりで、印象に残っている方も多いのではないでしょうか?

スタイルの良い男役さんがずらりと並び、迫力溢れるコーラスが聴ける舞台は圧巻です!

イケメンでかっこいい男役さんが観たい!歌のパワーに圧倒されたい!という方には宙組がおすすめです!

専科 〜スペシャリスト集団〜

組に属さないタカラジェンヌを作るという”専科”制度が誕生したのは、1927年。

歌やダンス、芝居といった芸に秀でたスペシャリストが揃い、各組に特別出演することで、舞台を引き締めサポートする重要な役割を担っています。

昔は、「舞踊専科」、「演劇専科」、「声楽専科」、「ダンス専科」、「映画専科」と分かれていたそうですが、現在ではそのような区別はありません。

2000年には当時各組の2番手、3番手だったスター10人を集めた新専科も誕生し、未来のスター候補たちが様々な組に特別出演し、後にその中の6人がトップに就任しました。

ベテランの生徒さんだけではなく、スター格の専科生も数多く在籍し、専科のイメージがガラリと変わります。

2012年には、当時宙組の路線スターであった北翔海莉さんが専科に異動。
その後も華形ひかるさん、沙央くらまさん、星条海斗さん、凪七瑠海さん、愛月ひかるさんといった各組の路線スターが続々と専科に異動され、お芝居・ショー共にご活躍されています。

最近では専科だけでの公演も実施されることもあるので、舞台をぴしっと締めるスペシャリスト集団の演技や歌をぜひご自身でお確かめください!

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