組・ジェンヌの魅力

紅ゆずるさんの魅力

10月13日に、宝塚歌劇団を退団された、元星組トップスターの紅ゆずるさん。愛称さゆみ、さゆちゃん、ゆずるん、べに子。

2002年3月、88期生として入団。決して優等生ではなかったもののトップスターまで上り詰めた努力の人。組替えを経験する人が多い中、初舞台以来”生粋の星組っ子”として最後の時を迎えようとしています。

涼し気な目元などから、一見クールな方かと思いきや、大阪弁で気さくに話すエンターティナー精神の塊のような紅さん。初めて見た人はそのギャップにびっくりすることでしょう。でもこれこそが紅さんの魅力なのです。

そんな紅さんとはどのようなタカラジェンヌだったのでしょうか?今回は紅ゆずるさんの魅力についてご紹介したいと思います。

クールな見た目と人情溢れるお人柄

切れ長の目を持つクールな男役

紅さんは173cmと長身で、すらりとした抜群のスタイルは舞台上でもひときわ目立つ存在です。前トップの北翔海莉さんや柚希礼音さんと並んでも遜色ない存在感でした。

そして紅さんの魅力といえば、切れ長の目です。皆さんご存知のとおり宝塚といえば独特な舞台メイクが特徴の一つですが、紅さんの切れ長の目はとてもメイク映えし、普段とはまた違うクールさを醸し出しています。

この切れ長の目こそが男役としての紅ゆずるさんの魅力を存分に引き立たせていますし、これまでの舞台でさまざまな役を演じるのに大きな助けとなったことでしょう。

大阪出身らしい人情

紅さんといえば切れ長の目に加え、なんといっても魅力的なのが人柄の良さです。大阪出身の彼女は、いろんな場面でその人情味溢れる人柄を発揮してきました。

その代表と言えるのが「紅5」です。この「紅5」は、雪組の男役5人で結成された「AQUA5」のポスターを見た紅さんが、「自分も何かやりたい!紅5はどうかな」と言い出し、自ら結成したものです。

その時周りにいた下級生をメンバーとし、最初は公認ユニットではなかったものの、最終的にはコンサートまで行うほどになりました。

また対談番組などでは水を得た魚のように、その人柄を十分に発揮します。上級生からはいじられ、下級生には鋭いツッコミをし、その場の空気を和ませることに関しては天才的といえます。これはもう生まれ持った才能なのかもしませんね。

舞台上の魅力

優等生ではないからこその魅力

宝塚では成績が絶対です。音楽学校を卒業する時の成績がずっと影響するというくらいシビアなものなのです。

紅さんの音楽学校卒業時の成績はというと48人中47番。なんと後ろから2番目だったのです。これまでのトップスターの中でも、ここまでの成績からトップになった人は他にはいません。

ですが、紅さんはトップへと上り詰めました。それは、宝塚への愛とただならぬ努力があったからに他なりません。

退団会見の時に「舞台に立つことを当たり前と思わないこと」を舞台人として大切にしてきたとおっしゃっています。最初から決して目立つ位置にいたわけではなく、舞台の端でも努力し続けた紅さんだからこそ言える言葉です。

新人公演では、最後の学年でやっと主役を演じることになるわけですが、それがまさかの「スカーレット・ピンパーネル」でした。まさか数年後にこの公演でトップお披露目をすることになるとは、当時誰も思っていなかったことでしょう。

「諦めなければ夢は叶うことを宝塚は教えてくれた」という紅さんの言葉ほど説得力のある言葉はないですね。

コメディセンスたっぷり

その「スカーレット・ピンパーネル」や「ANOTHER WORLD」で見せたコメディセンスはさすがとしか言いようがありません。

初演のスカーレット・ピンパーネルでパーシーを演じた安蘭けいさんのコメディセンスも抜群でしたが、それに負けず劣らずの素晴らしいコメディセンスを発揮されていました。

また、やはり紅さんといえば「紅子」です。男役にも関わらず、金髪ロングのかつらにスカートを履いた、紅さんが”女装”したキャラクターです。「自称紅ゆずる大ファンの客席案内係」という設定の紅子は、面白すぎるキャラクターなのです。

客席と自由に掛け合いをし、やりたい放題と言ってもいいほど、自由にのびのびと紅子を楽しんでいる様子はファンにはたまらないことでしょう。これまでのトップさんで、ここまでされた方はいらっしゃらなかったと思います。

でもそれさえも許され、しかも愛されてしまう紅さんは、本当に素晴らしいコメディセンスの持ち主といえることでしょう。

紅ゆずるさんはタカラジェンヌにこそふさわしかった

宝塚は、入団者や退団者がいて、少しずつ変わっていくものの、基本的には同じメンバーで公演を行います。

宝塚ファンは、お気に入りのタカラジェンヌを見つけて、公演ごとに成長していく姿や、TVや雑誌などで舞台以外の人柄も知り、ますますファンになっていきます。

音楽学校時代の成績が後ろから2番目だった紅さん。だからこそ、苦手な歌やダンスを人一倍努力し、公演ごとに少しずつ上手くなっていく姿にファンは心打たれるのではないでしょうか。

また、人柄があたたかく、タカラヅカ・スカイ・ステージの番組などで抜群のコメディセンスを発揮するところも紅さんの大きな魅力です。でも、紅さんが宝塚以外の舞台に立つ方であれば、もしかしたら気づかれなかった部分かもしれません。

長年かけて成長を見守り、舞台以外の情報もたくさん手に入る、そんな宝塚だからこそ、紅さんはトップスターになったのだと思います。紅ゆずるさんは、まさに宝塚にぴったりのタカラジェンヌだったといえるでしょう。

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