今回は、花組の娘役の中から音くり寿さんをピックアップ。
100期生の中でも2位という優秀な成績で入団を果たしたおとくりちゃん(音くり寿さん)。
既に新人公演以外でもいくつかのヒロインを務めている注目株です。
三拍子揃った娘役
新人公演のヒロインが1回、梅田演芸劇場などのいわゆる「別箱」公演でのヒロインが2回、公演のフィナーレでソロを歌うエトワールが1回。
入団5年目とは思えないほどの輝かしいキャリアを持っているのが音くり寿さんの1番の特徴でしょう。
歌、ダンス、お芝居とどれも上手いのですが、中でも歌の実力の高さは素晴らしいと思います。
入団からわずか2年目で『ME AND MY GIRL』でヒロインのサリー役に大抜擢。
1幕だけでのヒロインでしたが、宝塚で長く歌い継がれている「一度ハートを失ったら」など難曲ぞろいのこの役を見事に演じ切って歌の実力を十分に印象付けました。
その後『金色の砂漠』や『ハンナのお花屋さん』などでも目立つ役を演じ、『花より男子』では、インパクトの強いいじめっ子を演じるなど芝居心も十分に見せられる娘役。
『CASANOVA』ではベネラという猫の役を演じたのですが、しなやかでチャーミングな動きに、オペラグラスでついついおとくりちゃんを追いかけていました。
ちょっとした動きからも運動神経いいんだろうなぁ…ダンス上手いもんなぁ…と感心しきりでした。
これからも大きく羽ばたくであろう娘役の1人に間違いありません。
映像でチェックするなら、この舞台!
1本目は『Ernest in Love』。2番手ヒロイン的な役どころ・セシリィを城妃美伶さんと役替わりで演じられました。
この時の音さんも研2。『ME AND MY GIRL』とならぶ大役の続いた年でした。
ヒロインであるグウェンドレンと、女同士でバチバチと火花を飛ばすシーンもある出番の多い役を、かわいらしくチャーミングに演じて話題を集めたおとくりちゃん。
研2とは思えないほどの安定の技術力と、年相応のかわいらしさの両方をうまくミックスした活躍ぶりに注目です。
2本目は『蘭陵王-美しすぎる武将-』。
おとくりちゃんは蘭陵の王を亡き者にすべく送り込まれたものの、彼に惹かれ、誰よりも彼を助けていくヒロイン、洛妃を演じています。
歌と芝居で、複雑なヒロインの内面を丁寧に鮮やかに描く好演。『Ernest in Love』とはま反対の大人っぽい魅力も披露しました。
特にクライマックスシーンの歌は必見・必聴。
こんなに歌える娘役さんならこれも歌ってほしい!という曲を妄想したくなるかもしれません。
トップ娘役になってもらいたい!
歌、ダンス、お芝居とどれをとっても本当に素晴らしい娘役であるおとくりちゃんには、ぜひトップ娘役になってもらいたいものです。
花組では、同期の華優希さんがトップ娘役に就任したばかり。
月組は美園さくらさんがトップ娘役として2公演目を迎えたばかり。
雪組は真彩希帆さんの後に、彩みちるさん、野々花ひまりさん、イメージガールに就任したばかりの潤花さんと、魅力的な娘役が大渋滞。
宙組は、同期の星風まどかさんがいて、まどかちゃんが仮に退団したとしても、比較的身長が低いおとくりちゃんは宙組には向かない気がする…。
…と、なかなかトップ娘役の可能性は高くはないと思うのですが、舞台人として素晴らしい彼女が真ん中で輝く日を心待ちにしています。