すみれパレット

月組の魅力

宝塚は5つの組で編成されていて、各組の持ち味や個性があり、様々な公演を楽しむことができますよね。

みなさんのお気に入りは何組でしょうか?

今回は5組の中でお芝居に定評のある月組にクローズアップして、現在活躍されているタカラジェンヌを紹介したいと思います。

トップスター 珠城りょうさんの包容力、誠実さ

まずは、月組の顔とも言えるトップスターの珠城りょう(たまき・りょう)さんです。彼女は、2008年に94期生として宝塚に入団し、異例の入団9年目という若さで2016年にトップスターに就任しました。

通常は入団10年目以降に就任するトップスターがほとんどで、「男役は10年以上経験して初めて一人前になる」という意味の「男役10年」というフレーズもあるくらいです。

そんな中、若くして就任したトップスターならではの「フレッシュさ」も彼女の武器ともいえますね。

男役になるために生まれてきたかのような体格の良さ

珠城さんの特徴はなんといっても、長身でがっしりとした上半身と、そのスタイルバランスの良さ!

近年は華奢で中性的なタカラジェンヌが多く、男らしさを出すために肩幅や胸板を補正するのも大変なのだそうです。

珠城さんは幼少期から水泳、バスケットボール、ハンドボールをやっていた生粋のスポーツ少女で、図らずもここで男役にふさわしい体格が培われたのでしょう。

舞台に立つ姿はまるで本物の男性のようで惚れ惚れしてしまいます。まだご覧になっていない方も、一目見れば珠城さんのがっしりとした体格にときめくと思います!

舞台や月組生に対する誠実さ

そして珠城さんの包容力は体格だけではありません。

正統派のヒーロー像が似合う真っ直ぐな眼差し、そして一つ一つの舞台への誠実さも大きな魅力です。

相手役を大きく、そして優しく包み込む男役としての包容力は、見ている誰もが安心感を抱くのではないでしょうか。

舞台上だけでなく、下級生をはじめ、これまで共演したタカラジェンヌたちからも「珠城さんは包容力があって安心する」との声が聞かれます。

トップコンビになると、スカイステージの番組では恒例の質問が投げかけられます。

「二人でお出かけするならどこへ行きたいか?」というものです。

これがなかなかピッタリと揃うことは難しいのですが、珠城さんは相手役の美園さんの好きな「美術館」と回答したり、前相手役の愛希さんと共演された際は、「遊園地に行って(珠城さんの回答)、パンケーキも食べよう(愛希さんの回答)」と、お互いの回答をうまく汲み取るようなトークで優しい気遣いをされています。このように、スカイステージや雑誌の対談内容をのぞくと、何気ない会話の中に珠城さんの気遣いが見られます。

彼女の性格が舞台のあたたかさや連帯感を生み出してくれるのかもしれませんね。

トップ娘役 美園さくらさんの華やかさ、オンとオフのギャップ

次に、珠城さんの相手役となる美園さくら(みその・さくら)さんです。2003年に99期生として宝塚に入団し、2018年にトップ娘役へ就任しました。

華やかな舞台姿

美園さんはなんと99期生の首席で入団をしたタカラジェンヌです。彼女の歌唱力や芝居心、ダンスパフォーマンスは文句なしに素晴らしいです。

また実力だけではなく、持ち前の華やかさがあり、ゴージャスな衣装を素敵に着こなしてくれます。

お披露目公演でのレビュー『クルンテープ 天使の都』では、どれもタイの楽園をモチーフにした色とりどりの衣装で、美園さんの美しさが際立っていました。衣装負けしない華やかさは天性のものなのでしょうね。

オフでは恥ずかしがり屋さん

舞台上ではとても華やかにいきいきと輝く美園さん。

実はとても知的な一面もあるんです。学生時代から成績優秀で、なんと数学検定で文部科学大臣賞を受賞した経歴もあるジェンヌさんなんですよ。

その反面、幼少の頃から恥ずかしがり屋さんだったそうです。声楽家のお母さんに連れられて海外のコンサートツアーに参加したこともあるようですが、人前に出るのは苦手だったとのこと。

トーク番組などに出演する美園さんは、恥ずかしそうに話していてとても可愛らしいのですが、ユーモアも垣間見えます。

「宝塚カフェブレイク」の番組に出演した際、MCの中井美穂さんから「(現実世界とは別に)もう一つの世界があったら何をしたいですか?」という質問を投げかけられた美園さんは、「現実世界との境界線を探します!」と個性的な回答をして、傍らの先輩タカラジェンヌが思わず吹き出してしまうシーンがありました。

舞台だけではなく、番組などでのぞかせる可愛らしい一面も見逃せません!

舞台を彩る男役、娘役

月組は、トップスター、トップ娘役を支えるタカラジェンヌもスター揃いです。

中でも活躍がめざましい注目スターを5名紹介しましょう。

月城かなと(つきしろ・かなと)さん

2009年に95期生として宝塚に入団した当時の配属先は、雪組でした。雪組では新人公演の主役を数多くこなし、月組へ組替えしています。

月城さんは、「美」の1文字がぴったりなタカラジェンヌ。端正で上品な顔立ちとキラキラとした王子様のイメージを持つ彼女は、月組の注目スター筆頭の男役とも言えます。

特に彼女の演技力は素晴らしく、月組の昨年の本公演演目であるミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞-』では、過去に多くのトップスターが配役されたルイジ・ルキーニを演じました。

次期トップスター候補の一人である月城さんの今後に目が離せませんね。

暁千星(あかつき・ちせい)さん

2012年に98期生として宝塚に首席入団した暁さんは、当初から数多くの大役を抜擢された男役のルーキーです。

なんと入団8年目にしてすでに6作品もの主役経験があります。素顔はとても可愛らしく、小動物のようですが、彼女の武器は何といってもバレエ!

各公演のダンスシーンでは高度な振付が当てられ、見事に踊りあげています。『クルンテープ 天使の都』では、女性として踊る場面があったのですが、ダンスはもちろんのこと、ショートパンツから除く美脚にもドキドキしてしまいました。

彼女の更なる活躍に期待大です。

風間柚乃(かざま・ゆの)さん

2014年に100期生として入団した若手スター男役の風間さん。入団5年目ながらすでに新人公演を2度経験しているホープです。

それに加えて、上級生のタカラジェンヌが急な休演をしてしまった際の代役経験を2度も持っています。突然の代役にも関わらず、堂々と役を演じきり高評判だったようです。

彼女の売りは歌と、堂々とした立ち姿。持ち前の力強い歌声と高い歌唱力で観客の目を惹きます。入団歴としてはまだまだ下級生ではありますが抜群の安定感があり、これから新たな魅力も花開くであろう期待の若手スターさんです。

海乃美月(うみの・みつき)さん

2011年に97期生として入団した月組を代表する娘役です。月組へ配属されてから、数多くのヒロインを経験しています。

海乃さんの特徴は、歌・芝居・ダンスと何でもこなせる実力バランスの良さと、透明感のある美しさ。大人っぽい雰囲気で、下級生時代から”かわいい”だけではない役を数多く割り当てられたため、演技の幅も広く、可憐な少女の役からかっこいい女役まで見事に演じます。

トップ娘役になっていないのが不思議なくらいの海乃さん。これからどんなキャリアを歩むのか注目です。

蘭世惠翔(らんぜ・けいと)さん

2016年に102期生として入団し、今年8月に男役から娘役に転向した話題のスターです。

実は月組の前トップ娘役である愛希れいか(まなき・れいか)さんや、かつて2番手娘役の彩星りおん(あやほし・りおん)さんも、男役から娘役へ転向された経歴があります。

蘭世さんは音域の広さが評価されていて、男役時代から舞台上で娘役を演じることもありました。有名なところでは『エリザベート-愛と死の輪舞-』の新人公演で演じたマダム・ヴォルフ役あたりでしょうか。

愛希さんのように、華麗にヒロインを演じる日が来るかもしれません。これからの活躍に注目したいですね。

月組のおすすめ作品

珠城りょうさんがトップスターになられてからの大劇場公演の中で、是非見ていただきたいものを3作品ご紹介します!

『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』

2017年7〜10月に行われた、宝塚オリジナルのミュージカルです。

有名な古典『三銃士』を元にした冒険活劇で、スピード感のあるコミカルな舞台です。

珠城りょうさん演じる王道ヒーローのダルタニアンと、愛希れいかさん演じるお転婆でキュートなヒロイン、ルイ14世を始め、絢爛豪華な王宮の舞台やお衣装、銃士隊の戦闘シーンのかっこよさも見どころです。

「あれ、ルイ14世がヒロイン?」と思われた方、鋭いですね。そう、この作品では、ルイ14世が女性という設定になっているんです。

現実にはなかなか起こり得ない、でも少女漫画好きな方であればきっと気に入るハッピーエンドなストーリーを堪能できます!

『カンパニー-努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』

2018年2〜5月に行われたお芝居です。

舞台設定は現代の日本。宝塚ではあまり見ない設定ですが、珠城りょうさんの包容力を堪能できる素敵な作品です。

珠城さんが演じるのは、実直で誠実なサラリーマン。誠実な珠城さんにぴったりな、まさに当て書きの人物設定です。

メインのストーリーは、珠城さん演じるサラリーマンが、スポンサー先のバレエ団の公演を成功に導くというお話。バレエ団員が抱える悩みに寄り添う珠城さんにキュンキュンすること間違いなし!

現代日本という設定なので、あまり作り込みすぎていない、等身大のタカラジェンヌを見られるのも楽しいです。

『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』

先に紹介した『カンパニー-努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』と合わせて公演されたショーです。

こちらは、珠城さんのギャップにやられて、ますます珠城さんを好きになる作品です。

月からやって来た珠城さん扮する悪党バッディが、仲間とともに地球を暴れまわるストーリーです。そもそも全編がストーリー仕立てになっているショーが珍しい上、悪役が主役という、更に珍しいショーです。

誠実で優しいお人柄の珠城さんが悪役に扮した舞台姿をご覧になってはいかがでしょうか。特にタバコを咥えて登場するシーンは必見です!

まとめ

今回は、月組で活躍するタカラジェンヌの今の魅力をご紹介しました。どの組にも言えることですが、タカラジェンヌたちは1つ1つの公演を経て魅力がどんどんグレードアップしていきますし、新しいスターも生まれ、組の魅力が目まぐるしく変化していきます。

今の月組はもちろん、今後の月組がどのように変化していくのかもとても楽しみですね。