2019年10月現在、雪組のトップスターを務められている望海風斗さん。
入団時の成績2位とデビュー当時から注目を浴び、新作・再演作を問わず様々な大作を演じられているトップスターさんです。
そんな望海さんの魅力は、決して一言で語りつくせません。今回は、見どころ満載のトップスター・望海風斗さんの魅力に迫ります。
彫刻のようなお顔
舞台化粧をされたお顔はもちろん、素顔メイクも美しい望海さん。
引き締まったフェイスライン、滑らかに整ったお肌に吸い込まれそうな瞳に整った鼻筋。まるで彫刻のような美しさに、目が離せなくなります。
「GRAHPH」や「歌劇」のポートレートを見るだけではもったいない。ぜひ、楽屋への出入りをされる様子の見学、入り待ちや出待ちのお姿にも注目してください。
舞台では役柄に合わせたお顔へとメイクで変身されますから、そのお顔とのギャップや共通項を見つけて「どっちもおきれいだな~」と感激するのも、宝塚ならではの楽しみ方です。
そこにいるだけで宝塚ファンを楽しませてくれるとは、何とも罪なスターともいえますね。
まさに”役を生きる”役者
どうせ舞台を見るならば、何をやっても役者さんそのものにしか見えない役者さんより、何をやってもその役そのものに見える役者さんを見たいですよね。
望海さんはまさに、今やっている役そのものに見える役者。”役を生きる”役者なのです。
その舞台を支える要素、お芝居・歌・ダンスそれぞれについて望海さんの魅力を掘り下げてみましょう。
お芝居
役が乗り移って役者を動かしているような芝居をする人を「憑依型の役者」と表することがあります。
望海さんはまさにこのタイプ。場面ごとに移り変わる役の感情をリアルに、そして濃密に描くことのできる役者さんです。
「壬生義士伝」の主人公・吉村貫一郎は普段、地味を地で行く決して二枚目とは言い難いキャラクター。
でも、刀を持てば目つきが変わる、いや人が変わるというギャップの大きな人物を見事に演じ切りました。
また「ドン・ジュアン」では、1幕と2幕では見せる表情も心情もガラッと変わるタイトルロールを熱演。
女遊びが激しすぎる、顔は二枚目だけれど性格は二枚目ではないところから1幕が始まり、心から愛する人に初めて出会った2幕では、善人をも目指そうとする難しい役どころでした。
そんな「宝塚の王子様」とは全く違う役どころでさえ、魅力的にしかもリアルに成立させられるところが、望海さんの大きな魅力です。
歌
望海さんといえば「歌!」と聞いたことのある方も多いでしょう。
ディズニーの名曲を歌ったCDの発売をきっかけに、東宝ミュージカルやTVで活躍される井上芳雄さんのコンサートにも出演されています。
井上さんご自身が「望海さんのCDがあったからディズニーのナンバーを歌うようになった」という旨のお話をされているのですから、すごいですよね。
また望海さんは2019年の「FNSうたの夏まつり」にご出演。やはりミュージカルスターの山崎育三郎さんとコラボしたことを記憶されている方もみえるかもしれません。
同番組では名作「エリザベート」の「闇が広がる」で見事なまでに、名シーンを再現。
ただ単に「歌がうまい、技術がある」ではなくて「芝居心のある歌が歌える、歌で芝居ができる」ことを世に知らしめました。
その芝居心ある歌は、当然のことながら宝塚の舞台でも存分に披露されています。
歌が歌えなければ始まらないミュージカル「ファントム」。歌詞がきちんと聞こえる、メロディが正確に聞こえるという、技術的な部分は難なくクリア。
純粋ゆえにネガティブな感情まで振り幅が大きい、主人公エリックの感情が手に取るように伝わる歌で観客を魅了したのです。
ショーでもその歌唱力はいかんなく発揮されます。場面によって甘さや低さ、様々な色の声を使い分けるのが特徴。望海さんは声の魔術師ともいえるスターなのです。
ダンス
「ダンスの花組」とも呼ばれる花組で、10年の時を過ごした望海さん。
歌ほどにダンスの腕前が話題になることは少ないかもしれませんが「魅せる」ダンスを、バッチリ踊れるショースターでもあります。
ダンディなだけだと重すぎる、キラキラしているだけでは男役としてかわいらしすぎる。
そんな厳しい目を持つ宝塚ファンも魅了するスタイリッシュさとダンディさ、そしてキザさを兼ね備えたダンスを得意とします。
特に燕尾服をビシッと着こなしての群舞は見逃せません。というより、自然に目を引き付けられるだけのカッコよさが、望海さんのダンスのなせる業でしょう。
溢れ出る宝塚への情熱
タカラジェンヌの中には、記念受験や身近な方に勧められたなどの理由で受験し、入団される方もいます。
一方で望海さんは筋金入りの宝塚ファン。宝塚のオタク「ヅカオタ」とまで呼ばれるほどのファンっぷりは、タカラヅカスカイステージでも披露されます。
1番有名な話といえば天海祐希さんのファン時代のお話でしょう。
望海さんは天海さんの退団がショックで、彼女に宛てる手紙のように毎日日記をつけていたといいます。
中でも「天海さんもそんなことある?」は名(迷?)言。「そこまでのファンだった方が、今やトップか!」と感慨深いやら、かわいらしくて笑ってしまうやらですよね。
また、タカラジェンヌになっていなかったら公式グッズショップ、キャトルレーヴのお姉さん(スタッフ)になっていたと公言されるなど、望海さんの宝塚愛に限界はありません。
タカラヅカスカイステージで「キャトルレーヴ宣伝部長」として、商品のPRを担ったこともある望海さん。
一流の営業マンも真っ青なPRトークを見ると、本当に宝塚がお好きな方なんだなと納得します。
そんな「ヅカオタ」な望海さんだから「神対応」と呼ばれるファン対応も、ご本人にとってはごく自然なことなのかもしれません。
ファンクラブの方からお手紙を受け取るときには、必ずお礼を伝えるのが望海さん流。
決して時間に余裕があるわけではない、楽屋口近くでのひと時も大切にされるのは、ご自分が誰よりも濃密なファン時代を過ごしてこられたからこそでしょう。
こんな熱い宝塚愛をもっている望海さんだからこそ、舞台も見ごたえのある濃密なものになるのでしょうね。
望海さんのここを見て!
しぐさまでカッコいい!
宝塚のスターといえば、歌・ダンス・芝居の力量が注目されるもの。できればスターと呼ばれる人には3つ全てがバシッとできてほしいと思うのがファンの本音です。
でも、ファンが注目するのは、そこだけではありません。ちょっとした時に見せるしぐさ。オペラグラスを覗かないとわからない表情の切り替え。そんな細かなところまでカッコよくてこそ、スターと認められるのです。
望海さんは細部にまでこだわって魅せるスター。目線の使い方、手の使い方といった、なんとなく見ていたら見逃してしまいそうなところまでこだわって役を造り上げます。
特に手の使い方は、「ファントム」の時に元SMAPの香取慎吾さんがラジオで話題にされるほど秀逸です。
男役・望海風斗として使うのではなく、「ファントム」のエリックという人間を表現するために使える。そんなしぐさにまで芝居心を滲ませられるのが望海さんの素晴らしさです。
反対に、ショーで男役・望海風斗として魅せるウィンクなどの客席アピールもお手の物。
1回の公演を見にいけば、男役の美しさをすべて堪能できる。望海さんはそんな舞台を見せてくれるスターといえるでしょう。
望海さんのかわいらしさが全開になる上級生がいる?
望海さんといえば、先ほども登場した天海さんという方も多いでしょう。しかし、望海さんが下級生時代を過ごした花組の上級生・蘭寿とむさんとの絆も見逃せません。
赤坂ACTシアター公演「アル・カポネ」で主演された際、客席にいらした蘭寿さんから声をかけられ、感激のあまりに言葉を失った望海さん。
それだけでも、望海さんが蘭寿さんのことを大切な上級生と思っている様子が垣間見えますよね。
でもそれだけではないんです。蘭寿さんは「ファントム」を望海さん主演でという、願掛けの意味を込めて、ご自分が同作品に主演された時のアクセサリーを贈られていたそう。
相思相愛ともいえる、お互いへの尊敬や思いやりがこのお2人にはあるのです。
そんな間柄だから、タカラヅカスカイステージで蘭寿さんと共演される際の望海さんは、下級生に戻ったかのようなかわいらしさ全開。
舞台で見せるカッコよさとは全く違う表情も幸せそうで、目が離せません。
望海さんの舞台の数々
百聞は一見に如かず、望海さんの魅力を堪能するならば舞台を見るのが1番の近道です。
でも、劇場へはなかなか行けないという事情や「過去の熱演も見てみたい!」という気持ちがあるならば、過去作品を見るのも素敵。
ここでは、望海さんの魅力を堪能できる作品を3つご紹介します。
太王四神記-チュシンの星のもとに-
花組・2009年(新人公演)
韓国のTVドラマを下敷きに作られたお芝居。壮大な歴史ロマンを描くこのお芝居の新人公演で、望海さんは初主演を務めました。
入団7年目までのジェンヌさんだけで、宝塚大劇場や東京宝塚劇場で上演されている演目を上演する新人公演での主演は、スターへの足がかりとなるもの。
そんな大切な公演で、望海さんは存分にスターへの可能性を印象付けました。
得意とする歌をアピールしただけではありません。主役のタムドクが少年から青年へと成長する、その内面を丁寧に描いて芝居心もアピール。
入団して6年目にはもう今に通じる魅力を持っていた、持っていただけでなく表現すらされていたことに驚かされる舞台姿です。
オーシャンズ11
花組・2013年
「ドン・ジュアン」もそうですが、悪い男をも魅力的に演じられるのが望海さんの強味。オーシャンズ11の敵役テリー・ベネディクトも見事に演じられました。
できるビジネスマンの顔に潜ませた闇を見せるのはもちろん、彼の辛い子ども時代を歌うナンバーで、深い孤独を鮮やかに浮かび上がらせて客席を魅了したのです。
また、一目で悪役とわかるのにカッコよすぎるビジュアルも秀逸。
ヒロイン・テスと結婚するの?しないの?というところや、元恋人のクイーン・ダイアナに言い寄られるところなど色恋沙汰も多い悪役ですから、カッコよくなければ始まらない。
そんなところもしっかり押さえた役作りがされています。
この役で望海さんに魅了された方も多い作品。ぜひ1度ご覧になってはいかがでしょう。
琥珀色の雨にぬれて
雪組・2017年
宝塚大劇場でのトップスターお披露目公演前に、全国ツアーで上演された作品。再演を繰り返している名作の1つです。
望海さんが演じたクロードはガンガン前に出て、立ち回りをするようなカッコよさよりも、純粋でそれゆえ優柔不断さえも垣間見えてしまうような難役。
もし、魅力を押し出せなければ「もう、はっきりしてよ!」と不消化感さえ抱かせかねない役も、望海さんは母性をくすぐるような魅力を発揮して見事に演じ切りました。
内面の葛藤もひしひしと伝わるお芝居は説得力満載。細かな心理描写をじっくりと堪能できる舞台に仕上げたのは、望海さんの底力があったからこそでしょう。
なおこのお芝居、併演のショーがあります。それが「”D”ramatic S!」。こちらも一緒に見ていただけると、お芝居とは全く違った望海さんの魅力も堪能できるでしょう。
ファントム
ここまで何度も話題に上がった名作「ファントム」は、やはり望海さんを語るうえで外せない作品。
素晴らしいミュージカルナンバーが揃っているのはいうまでもありませんが、それを「芝居の一部」として歌う、難易度の高いテクニックを求められる作品でもあります。
歌を芝居として客席に届けられる望海さんにはぴったりの作品。その一言で終わらせてしまうには、もったいないほどの素晴らしい舞台に仕上がっているのです。
望海さんが演じられたエリックには、朗々と歌い上げる曲だけが割り当てられているわけではありません。
エリックの失望・絶望といった、歌い上げるのには適さない、ささやくような歌い方を必要とされる部分もあります。
そんな、客席に届けづらい歌い方を強いられる場面であっても望海さんは役の心情を劇場いっぱいに届ける名演を見せてくれたのです。
また、自身と同じく歌を大きな武器とするトップ娘役・真彩希帆さんとのデュエットを存分に楽しめるのもこの作品の醍醐味。
名曲「Home」などは自宅で見るならば、電話もインターホンも鳴らない状態にして堪能してほしい名演に仕上がっています。
望海さんお1人の魅力はもちろん、トップコンビとして輝く望海さんも堪能できる作品です。
まとめ
一言では語りつくせない、多角的な魅力を持つトップスター・望海風斗さん。
目や耳がいくつあっても足りないほどの歌や芝居、ダンスを極めた魅力的な舞台姿はもちろん、宝塚が大好きで仕方ない素顔まで魅力的なスターです。
これからも持ち前の魅力をどんどん輝かせて、宝塚ファンを夢中にさせてくれるに違いありません。
ぜひ望海風斗さんに注目して、宝塚の醍醐味を存分に味わってください。